鏡を見るたびに白髪が目につくようになった、染めても追いつかない、と感じる方は多いものです。この記事では、白髪が増える仕組みと、加齢以外に関わるとされる要因、そして「白髪は戻るのか」「抜いてもよいのか」といった疑問を整理します。あわせて、日常でできることの考え方と、医療機関への相談を検討したい場合にも触れます。
まず知っておきたいこと
- 白髪は、毛根にある「メラノサイト」という色素を作る細胞がメラニン色素を作らなくなることで起こります。加齢とともに増えるのが一般的です。
- 白髪が始まる年齢には個人差が大きく、遺伝の影響が大きいことが知られています。平均的には30〜40代で目立ち始めますが、それより早い人もいます。
- 加齢以外では、喫煙、強いストレス、ビタミンB12や鉄などの不足、甲状腺の異常などが白髪と関わるとされています。
- 加齢による白髪を確実に元の色に戻す方法は、現在のところありません。一部の要因では、原因が改善すると色素が戻ることがあると報告されていますが、限られたケースです。
- 白髪を抜いても白髪が増えることはありませんが、毛根を傷めるため勧められません。
- 頭皮ケアで白髪が黒く戻るわけではありません。ただし髪と頭皮の状態を整えることは、白髪以外の髪の変化にも関わります。
白髪が増えるのはなぜか
色素を作る細胞のはたらきが減る
髪の黒や茶色は、メラニンという色素の色です。メラニンは毛根の奥にあるメラノサイトという細胞が作り、新しく伸びる髪に受け渡されています。加齢とともにメラノサイトが作るメラニンの量が減り、髪に色がつかなくなると、その毛は白またはグレーになります。一度色素を作らなくなった毛包(毛根を包む組織)が、再び安定して色素を作り出すことは、通常は起こりにくいとされています。
なぜメラノサイトのはたらきが落ちるのか、詳しい仕組みは研究が進んでいる段階です。色素のもとになる細胞が加齢とともに減ったり、正しく働けなくなったりすることが関わると考えられています。
白髪が始まる年齢には個人差がある
白髪が目立ち始める年齢は人によって大きく異なります。平均的には30〜40代とされますが、20代から白髪が出る人もいれば、50代でも少ない人もいます。髪質や肌の色によって傾向に差があることも知られています。
この差の背景として大きいのが遺伝です。親が比較的若いうちに白髪が増えたなら、自分も似た時期に増えやすい傾向があります。早くから白髪が出ること自体は、多くの場合は体質の範囲内で、病気を意味するものではありません。
加齢以外に白髪と関わるとされること
加齢と遺伝以外にも、次のような要因が白髪と関連するとされています。ただし、どれか一つだけで白髪が決まるわけではなく、関連が指摘されているという段階のものも含みます。
- 喫煙:たばこに含まれる成分が、色素を作る細胞にダメージを与える化学的な変化を通じて、早めの白髪に関わる可能性が指摘されています。
- 強いストレス:強いストレスがかかると、色素を作る細胞が毛根から移動し、色素が失われることに関わるという説明があります。ストレスと白髪の関連を示した研究があります。
- 栄養・ミネラルの不足:ビタミンB12や鉄などが不足している状態は、白髪と関連するという報告があります。
- 甲状腺ホルモンの異常:甲状腺の機能の異常が、白髪と関わることがあるとされています。
- 一部の自己免疫疾患:白斑や円形脱毛症など、色素を作る細胞に免疫が関わる病気で、部分的に白い毛が生えることがあります。
これらのうち、栄養不足や甲状腺の異常、自己免疫疾患は、白髪以外の症状を伴うこともあります。気になる症状があれば、後述のように医療機関への相談を検討してください。
白髪は元の色に戻るのか
結論として、加齢による白髪を確実に元の黒い髪へ戻す医学的な方法は、現在のところありません。市販品やサロンのケアで「白髪が黒く戻る」とうたうものがあっても、加齢による白髪については十分な裏づけが確認できていません。
一方で、次のような例外的なケースは報告されています。
- ビタミンB12不足など、一部の要因による白髪では、原因が改善されると色素が戻ることがあるとされています。ただし、まれなケースです。
- 強いストレスに関連して色が抜けた髪について、ストレスが和らいだ後に部分的に色を取り戻すことがある、とヒトの毛髪を詳しく分析した研究で示されています。これは研究段階の知見で、誰でも必ず戻るという意味ではありません。
つまり「白髪は絶対に戻らない」とは言い切れませんが、戻るとしても限られた条件で、加齢による白髪全般に期待できるものではありません。白髪との付き合い方としては、染める、活かす、そのままにするなど、いくつかの選択肢があります。
白髪を抜くのはやめたほうがよい
白髪を抜くと、そこから白髪が増える、黒い毛が生えなくなる、という話がありますが、これは誤りです。1つの毛根からは基本的に1本の毛しか生えず、抜いても周りの毛根の性質は変わりません。抜いた後は、同じ毛根から再び白髪が生えてくるだけです。
ただし、白髪を抜くこと自体は勧められません。無理に抜くと毛根を傷め、繰り返すうちに炎症を起こしたり、その毛根から毛が育ちにくくなったりすることがあります。気になる場合は、根元で切る、目立たない位置なら残す、といった対応のほうが頭皮への負担が少なくすみます。
日常でできること・考え方
白髪を確実に防いだり戻したりする方法はありませんが、皮膚科医は、次のような健康的な習慣が白髪の進行を遅らせる可能性があるとしています。あくまで「可能性」であり、効果を保証するものではありません。
- 禁煙する、または喫煙を減らす
- 栄養バランスのとれた食事をとる
- 睡眠を十分にとる
- 強いストレスをためこまない工夫をする
- 頭皮も含めて紫外線を浴びすぎない
頭皮ケアそのもので白髪が黒く戻るわけではありません。ただし、頭皮を清潔で健やかな状態に保つことは、髪の太さやハリなど白髪以外の髪の変化にも関わります。白髪が気になり始める年代は、髪や頭皮の他の変化も感じやすい時期です。白髪だけに注目するより、髪と頭皮全体の状態を整える視点でケアを見直すとよいでしょう。
医療機関に相談を検討したほうがよい場合
次のような場合は、体質による白髪ではなく、別の要因が関わっている可能性があります。皮膚科や、必要に応じて内科への相談を検討してください。
- 10代から20代前半など、かなり早い時期から急に白髪が増えた
- 短期間に急激に白髪が増えた
- 一部分だけまとまって白い毛が生える、または髪が抜けた部分に白い毛が混じる
- 強い疲労感、体重の変化、皮膚や爪の変化など、白髪以外の気になる症状がある
医療機関では、必要に応じて栄養状態や甲状腺の機能などを調べることがあります。白髪そのものを治療するというより、背景に対処が必要な要因がないかを確認するための相談です。
まとめ
- 白髪は、毛根で色素を作る細胞のはたらきが減ることで起こり、加齢とともに増えるのが一般的です。始まる年齢には遺伝の影響が大きく、個人差があります。
- 加齢以外では、喫煙、強いストレス、ビタミンB12や鉄の不足、甲状腺の異常などが関わるとされています。
- 加齢による白髪を確実に元の色へ戻す方法は今のところありません。一部の要因では原因の改善で戻ることもありますが、限られたケースです。
- 白髪を抜いても増えませんが、毛根を傷めるため勧められません。
- 急な増加や、白髪以外の症状を伴う場合は、医療機関への相談を検討してください。
白髪を含めた髪と頭皮の変化は自分では見えにくい
白髪が増えてくる年代は、髪の太さやコシ、頭皮の状態など、他の変化も重なりやすい時期です。頭皮は自分では直接見えにくく、変化に気づきにくい場所でもあります。ヘッドスパ専門店ベルシュヴーでは、施術の前にカウンセリングとマイクロスコープ(頭皮を拡大して見る機器)で頭皮の状態を確認し、その方の頭皮や髪に合わせたヘッドスパを行っています。白髪そのものを黒く戻すものではありませんが、髪と頭皮の状態を客観的に知り、日々のケアを見直すきっかけとして活用できます。
なお、ヘッドスパは頭皮ケアを目的としたもので、病気の診断や治療を行うものではありません。上記のような気になる症状がある場合は、まず医療機関への相談をご検討ください。
